FXのスワップ投資は本当にお得か? ― トルコリラでの実例から解説
FX(外国為替証拠金取引)では、為替差益を狙う売買だけでなく、スワップポイント(通貨間の金利差調整)によって利益を得る方法があります。高金利通貨を買い、低金利通貨を売ると、その金利差分が「スワップ」として毎日付与される仕組みです。
一見すると「通貨を保有しているだけで利益が入る」という魅力的な投資法に思えます。しかし実際に運用してみると、メリットだけでなく明確なデメリットも存在します。ここではトルコリラを使ったスワップ投資の一例をもとに整理します。
元本50万円を用いて、20万トルコリラを半年間保有したケースを考えてみます。この場合、得られた利益はおよそ2万円、年換算では利回り約8%に相当します。
数値上は悪くない結果ですが、その裏にはいくつかの課題が見えてきました。
利益を得られた要因
- 相場下落後のリバウンドを狙った短期保有
- 投資額を50万円と小さめに設定した点
- レバレッジを約2倍と控えめにした点
リスクを抑えたことで元本割れを避けつつ、金利差収入を得られました。
デメリットと限界
一方で、次のような問題点が浮き彫りになりました。
- 利益額の小ささ:元本50万円では1日あたりのスワップ収入は約100円。まとまった利益を得るには投資額を大きくする必要がある
- 精神的な負担:値動きが不安定なため、1日5〜10回も相場をチェックすることになり「放置投資」とは程遠い
- 短期での運用に留まる:実際にはトルコ・リラの相場が下落するため3〜6か月しか保有できず、長期投資向きとは言いがたい
- 利回りの物足りなさ:最終的な収益率は年8%程度で、リスクに見合うかは疑問
他の選択肢との比較
- ドル円のスワップ投資:為替の安定性が高く、長期保有に適している
- S&P500インデックスファンド:歴史的に年率10%程度のリターンが期待でき、スワップ投資より効率的
まとめ
トルコリラのような高金利通貨を利用したスワップ投資は、確かに利益を生むことはできます。しかし「小額では収益が限定的」「為替リスクが高い」「精神的な負担が大きい」という現実があります。
結論として、安定的に資産を増やしたいのであれば、ドル円のスワップ投資やインデックスファンドへの長期投資の方が合理的といえるでしょう。
トルコ・リラ | 日本円(必要証拠金) | 1日のスワップポイント | 月間スワップポイント | 年間スワップポイント |
1万(TRY) | 5万円(2,000円) | 38円 | 1,140円 | 14,000円 |
10万(TRY) | 50万円(2万円) | 380円 | 11,400円 | 約14万円 |
50万(TRY) | 250万円(10万円) | 1,900円 | 57,000円 | 約70万円 |
100万(TRY) | 500万円(20万円) | 3,800円 | 114,000円 | 約140万円 |
200万(TRY) | 1,000万円(40万円) | 7,600円 | 228,000円 | 約280万円 |
300万(TRY) | 1,500万円(60万円) | 11,400円 | 342,000円 | 約420円 |
国内のFX(外国為替証拠金取引)は、元本の25倍までポジションを持てる。
したがって、理論上は20万円あれば、100万トルコ・リラのポジションを持てて、毎月11.4万円のスワップポイントがもらえる。
しかし、トルコ・リラは2014年に50円だったが、2024年には5円と10分の1になっている。
かなり、リスクの高い通貨なので、レバレッジは2倍~3倍が妥当だと思う。
- トルコリラは確かにスワップ収入が高く魅力的。
- しかし、通貨価値が下がり続けているため、長期的に損を出す人が多い。
- 安全とは言いがたく、あくまで高リスク・高リターンの投資。
- 初心者は「少額・低レバレッジ」で試しながら、慎重に判断することが重要です。