2024年にスタートした新NISA制度。2025年も多くの個人投資家が、新NISAを活用して資産形成を進めています。
中でも人気が集中しているのが、
- 三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
この2つのインデックスファンドです。
どちらも信託報酬が安く、運用実績も十分で、投資信託ランキングの上位常連。とはいえ、「どっちを積み立てるべきか?」で悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、それぞれの特徴・メリット・リスク、そして「20~30年の長期投資」における視点で、どちらが自分に合っているのかをじっくり考察していきます。
三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 投資対象:米国の大型株500社(S&P500指数)
- 組入比率:100%米国
- 信託報酬:年率0.07568%〜0.08140%
- 過去リターン(5年年率):約15~17%前後(時期により変動)
米国のGAFA+テック企業を中心に、世界をリードする企業にまとめて投資できるのが魅力。
三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 投資対象:全世界の株式(先進国+新興国)
- 組入比率:米国60%、日本6%、欧州・アジア・新興国等を含む
- 信託報酬:年率0.05753〜0.05775%
- 過去リターン(5年年率):約12~14%前後
米国を中心に、世界中に分散して投資できるのが特徴。
たしかに、過去の成績だけを見れば、S&P500の方がオール・カントリーよりも高パフォーマンスです。2010年代の米国株は非常に好調でした。
ただし、ここで重要な視点があります。
それは、今後20年~30年という長期スパンでは、過去と同じように米国が絶対的なリーダーであり続けるかどうかは不透明ということです。
たとえば、
- 米国の金利政策や経済減速
- テクノロジー株のバブルリスク
- 中国やインドなど新興国の台頭
などの変化が起きたとき、米国株100%のS&P500は、大きく影響を受けるリスクがあります。
一方で、オール・カントリーは世界の市場全体に分散されているため、ある地域が下落しても他の地域でカバーできる可能性が高いです。
「オール・カントリーも米国比率が60%以上あるなら、結局S&P500と変わらないのでは?」と思うかもしれません。
確かに、現在の組入比率ではS&P500に近い動きをします。しかし、決定的な違いは、「比率が自動で調整される」点にあります。
オール・カントリーの自動調整のメリット
- 米国が下落し、新興国が成長すれば、その構成比が変化する
- 各国の経済規模や株式時価総額に応じて「自動で最適化」される
- 投資家がリバランスする手間が不要
つまり、自分で市場の動向を読まなくても、世界全体の平均成長に乗ることができるのです。
以下に当てはまる人は、「S&P500」を中心に積み立てる戦略も合理的です。
- 米国企業の将来性を信じている
- 短期~中期でも高いリターンを狙いたい
- 世界経済ではなく、米国経済の動向に注目している
- 経済ニュースや相場にある程度興味がある
つまり、「リスクを取りに行く姿勢」が強く、攻めの運用スタイルを好む人です。
一方、以下に当てはまる人には「オール・カントリー」の方が安心できる選択でしょう。
- 投資初心者で、なるべく失敗したくない
- 世界全体の成長を広く取り込みたい
- 国や地域の将来予測に自信がない
- 長期の積立を前提に、安定感を重視したい
つまり、リスク分散を重視し、守りながら資産を育てたいタイプの人に向いています。
悩む人におすすめの方法が、「分散して積み立てる」ことです。
- オール・カントリー100%でスタートして、慣れてきたらS&P500を追加
- NISA枠の中で、オール・カントリーを6割、S&P500を4割
投資は一度決めたら終わりではなく、ライフステージや経験に応じて柔軟に変えていくことができます。
ファンド名 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 米国集中、高リターン期待 | 攻めたい人、米国の将来性を信じる人 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 世界分散、安定性 | 初心者、守りを重視する人 |
20年~30年という長期投資では、「想定外のリスク」がいずれ訪れます。だからこそ、どちらが“正解”かではなく、“自分に合ったリスク許容度”で選ぶことが大切です。
投資の基本は、「継続」と「分散」。
迷ったら、まずはオール・カントリーでスタートし、投資に慣れながらリスクを取る戦略に切り替えるのも良いでしょう。
当ブログは情報提供のみを目的とし、読者にいかなる投資を勧めるものではありません。投資は自己責任・自己判断で行ってください。