ANAのシステム
2016年3月22日 ANAはシステムトラブルにより国内線だけで146便が欠航した。システムトラブルの原因はなんだったのか?
ANAの国内線システムは、旅客系基幹システム「able-D」を採用しており、2013年からは米国ユニシスの航空会社向けパッケージソフト「AirCore(エアコア:Airline Core Systems Solutions)」で運用されている。
ANAのシステムはオープン系だった
銀行やエアラインなどの大規模なコンピューターシステムの多くは「メインフレーム」と呼ばれるシステムで稼働している。
しかし、ANAは2013年に「メインフレーム」から「オープン系システム」に移行していた。
「メインフレーム」と「オープン系」の違い
メインフレーム | オープン系 | |
特徴 | 独自仕様 | パッケージソフトウェア |
言語 | COBOL FORTRAN | JAVA |
OS | 独自OS | UNIX LINUX |
安定性 | 高い | メインフレームに劣る |
高速性 | 速い | メインフレームに劣る |
ソフト改良 | 難しい | 容易 |
費用 | 高い | 安い |
かつてはメインフレームが主流であったが、2000年ころからオープン系システムを導入する中堅企業が増加してきた。
将来的には、オープン系システムが主流になると思われていた。実際、中規模システムはほとんどオープン系システムになりつつある。
しかし、オープン系システムが巨大化する中でシステムトラブルが多発し、現在では、大規模システムについては、メインフレームを見直す傾向にある。
ただ、メインフレームは独自仕様のため、開発人員が固定され人材の流動性がない。使用言語がCOBOLやFORTRANのため、人材が不足気味になっている。
メインフレームは伝統的に夜間バッチ処理を実施するため完全な24時間リアルタム処理には適していないことがなどの問題点が依然としてある。
ANAの国内線予約システムは「able-D」
ANAの国内線予約発券搭乗手続きを行うのは「able-D」というシステムで、全国の空港のANAカウンター、旅行代理店に約1万台のabel端末が設置されている。
「able-D」システムはメインフレームで運用されていたが、2013年からはオープン系シテムAirCoreで運用されている。
2016年3月22日のANAシステムトラブルの原因
今回のシステムトラブルは4台ある顧客データベースサーバーの1台が停止したことから始まった。残り3台で稼働する予定であったが、データベースの同期に不具合があり、残りの3台も停止した。
そこで、1台を再起動し、2台目を再起動したところ不具合が発生した。結局、サーバー1台のみ稼働させて復旧した。
1台のみなので、WEBサイトや旅行代理店からのシステム接続を制限しサーバーの負荷を少なくした。
その結果、WEBサイトからの予約はできにくい状態となった。
バックアップシステムは?
ANAではバックアップシステムを用意していたが、切替に1時間程度かかることから、切替をしなかった。
まとめ
顧客データーベースサーバーが4台のときは正常に稼働していた。しかし、3台となったときに、データの同期に不具合があって残り3台も停止した。
3台のうち1台は再起動できたが、もう一台を再起動したときに不具合が発生した。
4台では正常に稼働してきたが、3台になったときに不具合が発生したことになる。サーバー単体ではなく、複数のサーバー間の中継器の故障と報道された。
中継器とは、有線LANイーサネットスイッチングと見られる。ハブは接続されてたすべてのポートに信号を送るが、スイッチは、指定されたサーバーのみに信号を送る。