JR東海は2020年7月1日に営業運転を開始する新型新幹線「N700S」に停電時に自力走行できる「リチウムイオンバッテリー」を搭載する。
東京オリンピック開催の2020年7月24日までに5編成を導入し、2020年度に12編成、2021年度に14編成、2022年度に14編成、合計40編成を導入する。
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N700Sに非常用電源として、リチウムイオンバッテリーを搭載することはすでに公表されていた。
しかし、今回、報道されたのは「自力走行」できるリチウムイオン電池で、「非常用電源」と別に搭載されるのか?それとも非常用電源からの電気で走行するのかは不明。
リチウムイオン電池で走行する距離はトンネルを脱出できる距離とされる。東海道新幹線の新丹那トンネルは7,959mなので、数kmと程度と推定される。
なお、非常走行時の速度は時速30kmとされる。
搭載するリチウムイオン電池の仕様は?
N700Sに搭載されるリチウムイオン電池は東芝インフラシステムズが開発した「SCiB」が採用された。
「SCiB」は、負極に「チタン酸リチウム」を採用したことにより優れた特性を持つ。
安全性 | 破裂・発火を起こしにくい |
長寿命 | 15,000回の充放電でも80%以上の容量 |
低温性能 | -30℃でも使用可能 |
高入出力 | 大電流を出し入れ可能 |
急速充電 | 6分間で容量の80%の急速充電 |
電車用実験例
2015年、鹿児島市電1000形に24.3kwhの「SCiB」を搭載し、架線からの電力供給を停止した状態で約10kmを走行した。
当ブログ予想
搭載されるリチウムイオン電池の容量は重量は発表されていないので試算してみる。
東海道新幹線(東京~新大阪 約500km)の消費電気代は、1編成で片道27万円とされる。
ここから、東海道新幹線が500km走行するのに約10,000kwh必要と思われる。
1kmに換算すると、20kwhとなり、10km走行するためには200kwhが必要と思われる。
新型日産リーフのリチウムイオン電池の容量は40kwhで重量は300kgとされる。
新幹線「N700S」に搭載されるリチウムイオン電池の総容量は200kwh、総重量は1,500kgと予想される。
新幹線1編成16車両のうち、14車両にモーターが搭載されているが、試験段階では4両にリチウムイオンバッテリーを搭載し、30km/hの自力走行に成功した。
当ブログの試算が正しければ、「N700S1」1編成16車両に日産リーフ5台分(合計1,500kg)のリチウムイオンバッテリーを搭載すればいい。
16編成のうち、4車両~6車両にリチウムイオン電池を床下に搭載すると思われる。
また、1編成に搭載するリチウムイオン電池の価格は市販品ならば2,000万円程度と予想されるが、特別仕様と思われるのでも億単位かもしれない。