MRJ(三菱リージョナルジェット、Mitsubishi Regional Jet)
MRJは、三菱重工業(7011)が64%、トヨタ自動車10%、三菱商事10%などが出資した三菱航空機(株)が開発製造する小型機で、2015年11月11日に初飛行に成功した。
MRJの就航予定は5度延期され、2018年現在、2020年半ばの初納入と予定している。
スポンサーリンク
MRJの基本性能と仕様
- 座席数78座席(MRJ70)、座席数92座席(MRJ90)
- 全長約33m~36m
- 全高約10m
- 全幅約30m
- 巡航速度 約900km/h
- 航続距離約3,000km
ローンチカスタマー
ローンチカスタマーとは航空機を最初に注文し、航空機開発製造をスタ―トさせる契機となる顧客のこと。MRJの場合はANAで2008年に購入を決定した。
現在の受注状況(2016/2)
航空会社 | 受注機数 | 確定 | オプション | 購入権 |
ANA | 25 | 15 | 10 | |
トランスステイツ(米国) | 100 | 50 | 50 | |
スカイウエスト(米国 | 200 | 100 | 100 | |
イースタン航空(米国) | 40 | 20 | 20 | |
マンダレー航空(ミャンマー) | 10 | 6 | 4 | |
JAL | 32 | 32 | ||
エアロリース(米国) | 20 | 10 | 10 | |
ロックトン(スエーデン・リース会社) | 20 | 10 | 10 | |
合計 | 447 | 243 | 180 | 24 |
スポンサーリンク
リージョナルジェットの世界市場
2012年時点で90座席程度の小型旅客機は全世界で約4,000機が運航している。今後20年間で5,000機の需要があり、そのうちの5割 2,500機の受注を目指す。
日本の就航予定空港
MRJは座席数90と小型機のため、羽田空港では機材が小さすぎる。現在のところ伊丹空港や中部空港への就航が有力で、伊丹空港ではMRJに対応するボーディングブリッジの設置予定。
MRJの開発費
MRJの開発費開発費1,800億円で、うち、政府支援額は500億円と言われる。
MRJの燃費
MRJは新型のギヤードターボファンエンジンを搭載し、従来型機より燃費を 20%削減した。
エンジン開発はプラット・アンド・ホイットニー社。リージョナルジェットは1日6000km飛行し、燃料コストは年間6億円かかる。
燃費が20%改善されると年間5億円となり、1機/年で1億円のコスト削減になる。MRJ200機で運航すると年間200億円のコスト削減効果がある。
MRJのカタログ価格
MRJのカタログ価格は4200万ドル(約50億円)
MRJのライバルのリージョナルジェット機
世界のリージョナルジェット機市場はボンバルディア(カナダ)とエンブライエル(ブラジル)の寡占状態にある。
MRJの最大の長所は燃費が20%改善したことだ。しかし、それはP&W製の新型エンジンを搭載したことによる。
- エンブライエル(ブラジル)
エンブライエルも同じエンジンを搭載したE-2ファミリーを開発しており、2018年にも就航する予定で、MRJ並みの燃費と言われる。しかし、MRJの就航は2020年半ばで、MRJの優位さが薄れてきた。
エンブライエル E170(70座席)、E190(100座席)はすでに就航。E175-E2(88座席)、E190-E2(106座席)、E195-E2(132座席)は2018年から就航予定でMRJと同じP&W製低燃費ギヤード・ターボファン・エンジンを搭載予定。
- ボンバルディア(カナダ)
ボンバルディア CRJ-900 NextGen(100座席)は従来型機より5.5%の燃費改善した。
- 中国
中国商用飛機有限公司(中国)ARJ21(78~90座席)は、標準タイプで航続距離約2,200kmで2015年11月にも成都航空に引き渡し予定。約300機受注。
しかし欧米の型式証明を取得する予定はなく、中国国内と一部の発展途上国のみの運用となる。
- ロシア
スホーイスホーイ・スーパージェット100(60~95座席)