
那覇市内
沖縄の青い海、温暖な気候、ゆったりした時間の流れ──観光で訪れると誰もが「住んでみたい」と感じる魅力的な場所です。
しかし、いざ移住してみると、多くの人が数年以内に本土へ戻ってしまう現実があります。
ここでは、沖縄移住をすすめない「10個の理由」を解説します。
沖縄県には毎年2万人〜3万人が移住していますが、統計ではそのうち約8割が、移住から3年以内に本土へ戻ってしまうと言われています。
数年間でも沖縄で暮らした経験は、きっと人生の糧になるし、必ずしも「失敗」と決めつける必要はありません。
ただし、多くの人は「沖縄に一生住むつもり」で移住しており、それがわずか2〜3年で終わってしまったのは、本人にとって大きな誤算でしょう。
私はこれまで沖縄に23回訪れ、合計180日間滞在してきました。その経験をもとに、「沖縄移住」の現実について考えてみたいと思います。
(1) 沖縄の失業率は高い
沖縄は失業率が高く、就職活動も簡単ではありません。ハローワークに通い、20〜50社ほど面接を受けて、ようやく2〜3カ月後に就職できれば良い方だといわれています。
さらに賃金水準も低く、専門的な資格やスキルがない場合、手取り月給は20万円以下になることが多いです。沖縄県では、地元の感覚として手取り18万円は「多い方」とされ、手取り15万円前後が一般的だといわれています。
ただ、近年は賃金上昇の動きも見られます。2025年の最低賃金は、東京都が1,226円、沖縄県が1,023円となっており、その差は約200円です。依然として差はあるものの、地域間格差は徐々に縮小しています。
沖縄で地元出身者が比較的低賃金でも生活できる背景には、親戚から野菜や魚をもらったり、知人同士で助け合ったりする地域コミュニティの存在があります。
しかし、移住者にはこうした生活を支える人的ネットワークがありません。そのため、移住後に家族だけで生活を成り立たせることは、想像以上に厳しい現実があるといえます。
具体的な月収のイメージ
- 本人が手取り月収18万円
- パートナーが手取り月収12万円
- 共働き世帯月収30万円
沖縄では共働きでも手取り月収30万円(年収360万円)が一般的で、本土と比べると収入はかなり低めです。
さらに、沖縄には独特の働き方や仕事の進め方があり、それに馴染めずに移住後に苦労する人も多いです。
観光で楽しむ沖縄と、生活・仕事の場としての沖縄は、全く別物として考える必要があります。
(2) 海は綺麗だが、半年で飽きる?

沖縄移住の理由として、「美しい海の近くに住みたい」という人は多くいます。
確かに、海辺のリゾート地は景色が素晴らしく、別荘としては理想的です。
しかし、実際に暮らしてみると、買い物や通勤・通学が不便なことが多いのが現実です。
たとえ近くの会社でも車通勤で片道30分、往復で1時間かかります。渋滞がひどければ、片道1時間、往復2時間ということもあります。
そのため、海辺に住むつもりだったのに、結局は生活の便利さを求めて市街地に引っ越す人も少なくありません。これなら本土に住んでも同じではないか、という声もあります。
さらに、半年もすれば海の景色に飽きてしまう人もいます。
加えて、海の近くでは塩害が深刻で、エアコンの室外機はすぐ錆び、車も3年もすれば錆び始めます。
「沖縄は田舎だから物価が安い」と思いがちですが、むしろ本土より高いものも多いです。
理由は物流コスト。食品、日用品、ガソリンなどは本土価格より割高になることも珍しくありません。
安いのは地元野菜ぐらいで、全体的な生活費は意外と高めです。
しかも、沖縄県内産の食料品も高くなる場合があります。それは沖縄本島から石垣島までの距離は400kmなので輸送費が高くなるからです。
(4) 沖縄の不動産は意外と高い
沖縄県は地方都市であり、県民の所得も低いため、「不動産価格も安い」と考える人は少なくありません。しかし実際には、沖縄の不動産価格は想像以上に高い水準にあります。
例えば、那覇市新都心「おもろまち」のタワーマンションの新築分譲価格(2013年)は75㎡で約5,000万円でした。しかし、現在では中古価格で7,500万円になっています。
那覇市内の不動産価格は、神奈川県、千葉県、埼玉県と同程度の水準に達しており、地方都市としては割高感があります。沖縄は観光需要や人口流入の影響もあり、所得水準に比べて住宅価格が高いという特徴を持っています。
家賃相場
那覇市新都心にある「おもろまち駅」から徒歩10分圏内の賃貸物件は、25㎡程度のワンルームでも月額家賃が6万円以上するケースが多いです。東京のワンルームと比較しても、極端に割安とは言えず、家賃水準は決して低くありません。
確かに、駅から徒歩20分~30分ほど離れた物件であれば、月額家賃5万円前後の物件も見つかります。しかし、その場合は日常生活で車が必要になる可能性が高く、ガソリン代や駐車場代、保険料などを含めると、毎月2万円~3万円程度の維持費が発生します。
本土の人口30万人規模の地方都市であれば、月額5万円程度で一戸建て住宅を借りられる場合もあります。総合的に考えると、沖縄の家賃や不動産価格は割高な水準にあると言えると思います。
沖縄の不動産価格が高い理由
- 沖縄は平地が少なく人口が増加している。
- リゾートホテルや商業施設の進出が相次ぎ、土地需要が高い。
- 沖縄は貧富の差が激しく低所得者も多いが、会社経営者など富裕層も多い。その沖縄の富裕層が沖縄の不動産(軍用地など)を投資目的で買う傾向が強く、不動産価格が高止まりしている。
(5)年の半分はカビの季節
沖縄は湿度が非常に高く、特に5月から10月の半年間は注意が必要です。
ちょっと油断すると、すぐにカビが発生してしまいます。
実際に沖縄に住んでいて、本土へ1週間ほど帰省すると、戻ったときに家のクローゼットがカビだらけになっていることも珍しくありません。
革のジャケットやバッグにまでカビが生えるほど、沖縄のカビは強力です。
沖縄の地元の人によると、米軍住宅では電気代が日本政府の負担なので、長期間の休暇中でもエアコンをつけっぱなしにしているそうです。
カビを絶対に生やしたくないなら、それくらいする必要があるかもしれません。
晴天が少ない
沖縄は気候がいいと思うかもしれないが、意外と晴天は少ない
| 月 | 天候 |
| 1月~2月 | 風速7m~8mの北風(季節風)がほぼ毎日吹く |
| (体感気温は7℃~8℃低くなる) | |
| 3月中旬~4月中旬 | 天候がいい |
| 5月~6月中旬 | 梅雨(カビの季節) |
| 6月下旬~7月中旬 | 天候がいい |
| 8月~9月 | 暑い(台風) |
| 10月~10月中旬 | 台風 |
| 10月下旬~11月 | 天候がいい |
| 12月 | 風速7m~8mの北風(季節風)がほぼ毎日吹く |
| (体感気温は7℃~8℃低くなる) |
沖縄で晴天で気候がいいのは、合計3ケ月
- 3月中旬~4月中旬の1ヶ月
- 6月下旬の梅雨明け後の2週間
- 10月下旬~11月下旬の1ヶ月
(6) 沖縄の会社経営者は、冷たい、がめつい
沖縄の県民性は「やさしい」と言われる。
実際、県民の8~9割は「やさしい」と思う。
しかし、沖縄の会社経営者は「やさしい」だけではない。
那覇新都心(おもろまち)でのこと、カフェで隣の席に沖縄の会社経営者とその友人が2人で来ていた。
NYやパリなど海外旅行に行った話をして、最後に「沖縄に大型ショッピングモール(ライカム)ができて、安い時給で働いていた自社のバイトが辞めた。」と嘆いていた。
沖縄全体を見ると失業率も高く低賃金だ。
しかし、沖縄の企業経営者はその低賃金のバイトを雇って大きな利益を上げている。
コンビニや全国チェーン店の販売価格は東京と同じだが、人件費は沖縄の方が安いので沖縄の経営者は沖縄の安い人件費で大きな利益を上げている。
イメージとして、東京のコンビニのバイトの時給は約1,300円(最低賃金1,226円)だが、沖縄の場合は、最低賃金の時給1,023円くらいが多い。
10年くらい前、沖縄のコンビニの時給は500円台だった。
(7)沖縄人は初対面の人に冷たい、愛想がない
沖縄旅行して感じることだが、店員さんが「愛想がない」「親切でもない」「優しくもない」ことだ。
沖縄人は、地元の人間と深い人間関係があるので、地元民でない本土からの観光客は「よそ者」という感覚があって、ある種の警戒感があるからだと思う。
しかし、こっちから、積極的に話しかけて仲良くなると、まったく別人のように親切にしてくれる。
ただし、そこまで人間関係を作るのが難しい。
沖縄県民の時間感覚は独特で「ウチナータイム」と呼ばれる。
例えば、午後8時から始まる飲み会でも、午後8時に家を出て、午後9時からなんとなく始まることが多い。
仕事ではそこまでは遅れないが、分単位のスケジュールで動くことはまずない。
沖縄生活も半年も過ぎると、沖縄県民の集まりに呼ばれることも多くなる。
そこで振舞われるのが「ヤギ汁」で、独特の匂いがある。
沖縄の独特の食文化に馴染めない人もいる。
沖縄では、職場や同級生の間で毎月資金を出し合って、「親」が回ってくると「総どり」できる制度がある。
これを模合(もあい)という。
例えば、10人の模合(もあい)で毎月5,000円を払うとすると、10か月ごとに5万円をもらえる計算になる。
互助会のイメージだが、時々「不払い(模合崩れ)」も発生し、人間関係が複雑になることもある。
沖縄移住で成功する人
沖縄県北部の本部町でカフェやレストランを経営したり、名護市で手作りドーナッツ屋さんを開業した人など、小さくても自分で事業を立ち上げて成功した人がいる。
沖縄は国内有数の観光地なので地元客と観光客の両方の利用が見込める。
また、車社会なので、多少立地が悪くても客が来てくれる。むしろ、郊外の自然豊かなところにカフェなどを作ると評判になって客が来てくれるし、郊外なので出店費用が安い。
沖縄移住を成功させるなら、会社員ではなく、自分で事業を立ち上げる方ことも考えてもいいと思う。
しかも、沖縄の地元民のみならず、本土の観光客や移住者も顧客とするような事業がいいと思う。
沖縄県の人口は147万人でマーケットとしては小さいので、東京や大阪など本土の客をターゲットにしたビジネスも選択肢の一つだと思う。
移住者が暮らしやすい場所
都会暮らしに慣れている人なら、最初は那覇市や浦添市周辺のウィークリーマンションなどに住んで沖縄の暮らしに慣れるのがいいと思う。
ウィークリーマンションを卒業して、次に移住者が住む4候補地。
- おもろまち(那覇市新都心)・古島駅周辺
- 浦添市(那覇市の隣)
- あしびな(豊見城市豊崎)
- 美浜アメリカンビレッジ(北谷町)
モノレールおもろまち駅周辺の新都心、その隣駅の「古島駅」周辺、さらに那覇市の隣の「浦添市」の人気が高い。
また、那覇空港の南、アウトレットモール「あしびな」の周辺の豊崎地区や美浜アメリカンビレッジのある北谷町も人気だ。
那覇市の新都心「モノレールおもろまち駅」周辺には大型ショッピングモール「サンエーメインプレイス」があり、本土の30万人~50万人都市並みの生活環境が整っている。
しかし、最近は「おもろまち」新都心の家賃が値上がりして駅近物件は2LDK(45㎡)で家賃が10万円を超えることが多い。
安い物件は駅から徒歩20分くらいになる。
穴場と思ったのが「おもろまち駅」の隣の駅「古島駅」周辺で「おもろまち駅」周辺よりも住宅地の雰囲気で住みやすそうで、しかも家賃が比較的安い。
また、那覇市の隣の「浦添市」も人気の住宅地だ。
2019年に沖縄モノレールが浦添市まで延伸された。
やはり、電車生活に慣れた人にはモノレール沿線の方が暮らしやすいと思う。
郊外なら中城村・北中城村(沖縄中部)や名護市(沖縄北部)
沖縄本島の中部「北中城村(きたなかぐずく)」に、大型ショッピングモール「イオンモール沖縄ライカム」が2015年に開業した。
中城村(なかぐずく)、北中城村(きたなかぐすく)は高台になっており、那覇市街地よりも真夏は過ごしやすいかもしれない。
また、「沖縄らしさ」を移住の目的にするなら、沖縄北部の「名護市」あたりも候補になるだろう。
名護市は、那覇市よりも家賃が安く、海まで徒歩10分の不動産も多い。
中古の軽自動車でも買えば、ショッピングモールも利用でき、日常生活には困らない。
しかし、頻繁に本土と往復する場合、那覇空港から名護市まではバスで片道1時間30分程度かかるので不便だ。
那覇空港の駐車場は1日最大1,600円で安いように思えるが、何日も置きっぱなしにすると料金が高くなる。
本土と頻繁に往復する人は、沖縄北部や名護市周辺に住むと不便かもしれない。
これまで書いてきた内容と矛盾するかもしれませんが、「移住に失敗しても構わない」という覚悟があるなら、あまり深く考えすぎず、思い切って沖縄県へ移住してみるのも一つの選択肢かもしれません。
おそらく、メリットやデメリットを冷静に比較し、現実的に検討すればするほど、「沖縄には移住しない」という結論にたどり着く可能性は高いでしょう。
実際、沖縄移住は環境や収入面などの理由から、失敗するケースも少なくありません。そのため、一般的には積極的におすすめできるものではありません。しかし、何年も悩み続けるだけでは、人生はなかなか前に進まないのも事実です。
あえて沖縄に移住し、もし結果的にうまくいかず本土へ戻ることになったとしても、その経験は人生を前に進めるきっかけになるかもしれません。失敗も含めて、新しい土地で暮らした経験は、価値観や人生観を広げ、自分自身を成長させる可能性があります。
特に単身者であれば、いきなり移住を決断するのではなく、まずはリゾートバイトなどで数か月滞在してみるだけでも、沖縄での生活を体感できる貴重な経験になるかもしれません。