はじめに
「少額資金で毎月安定した収入を得たい」というのは、多くの投資家に共通する願いです。株式投資や不動産投資ではまとまった資金が必要ですが、FX(外国為替証拠金取引)は少額から始められる点が魅力です。
特に注目されるのが、新興国通貨を活用した「スワップポイント投資」です。今回は「10万円の投資で毎月1万円の利益を目指す方法」として、トルコ・リラを使ったFXスワップ投資の仕組みやリスクを解説します。
為替下落リスク
トルコ・リラは長期的に下落傾向にあり、数円の変動でも大きな含み損につながる可能性があります。特に証拠金10万円程度で運用する場合、為替相場の急変によって資金が一気に減少し、最悪の場合は全額がロスカットで消失するリスクもあります。
そのため、レバレッジはできる限り低く抑え、3倍以内を目安にするのが望ましいでしょう。なお、日本国内のFX会社では法令により最大25倍までレバレッジを設定できますが、個人投資家にとっては「高すぎる倍率」になりやすいため注意が必要です。
FXでは通貨ペアを売買しますが、国ごとに政策金利が異なります。
金利の高い国の通貨を買い、金利の低い国の通貨を売ると、その金利差を「スワップポイント」として毎日受け取れる仕組みがあります。
たとえば、
- 日本の金利:0.5%近辺
- トルコの政策金利:40%前後(2025年現在)
この大きな金利差が、トルコ・リラ投資の大きな魅力です。
実際に10万円を元手にトルコ・リラ投資を行い、スワップで毎月1万円を狙うにはどうすればいいのか。具体的な数値をシミュレーションしてみましょう。
前提条件
- 資金:10万円
- 通貨ペア:トルコ・リラ/円(TRY/JPY)
- 1万通貨あたりのスワップ:およそ28円/日(業者により変動)
- レバレッジ:3倍程度を想定
計算
- 1万通貨(=10,000リラ) →28円 × 30日 =840円/月
- 5万通貨(=50,000リラ) →28円 ×5× 30日 =4,200円/月
- 10万通貨(=100,000リラ) →28円 × 10×30日 =8,400円/月
- 12万通貨(=120,000リラ) →28円 × 12×30日 =10,080円/月
したがって、「毎月1万円」のスワップ収入を得るには 12万通貨(=120,000リラ)保有 が必要で、1トルコリラ=3.5円とすると、42万円となります。
投資資金が10万円の場合、レバレッジは約4.2倍となり、ややリスクが高めといえます。
そのため、「毎月1万円」という目標にこだわらず、例えば10万通貨(=100,000リラ)で毎月約8,400円のスワップ収入を得る形に調整するのも一案です。あるいは投資資金を14万円に増やし、レバレッジを3倍程度に抑えることで、より安定した運用を目指すことも可能です。
本記事では、1トルコリラ=3.5円、1万リラあたりの月スワップ収入=840円という前提で、
「10万リラ」「100万リラ」「200万リラ」「300万リラ」を保有した場合の試算を行います。
保有量(リラ) | 想定必要資金(円換算) | 月スワップ収入(円) | レバレッジ3倍で必要な証拠金(円) |
---|---|---|---|
100,000 | 350,000円 | 8,400円 | 約116,700円 |
1,000,000 | 3,500,000円 | 84,000円 | 約1,167,000円 |
2,000,000 | 7,000,000円 | 168,000円 | 約2,334,000円 |
3,000,000 | 10,500,000円 | 252,000円 | 約3,500,000円 |
「レバレッジ4.5倍なら余裕」と思うかもしれませんが、トルコ・リラ投資には独特のリスクがあります。
為替下落リスク
トルコ・リラは過去10年以上にわたり下落基調です。数円下がるだけで大きな含み損になります。
強制ロスカットの可能性
レバレッジ4.5倍は一見安全そうですが、トルコリラ円が3.5円 → 2.5円に下落すると、12万通貨保有で約12万円の含み損となり、証拠金維持率が急低下します。
政策変更リスク
トルコは経済政策が不安定で、金利の急変や通貨危機が起きればスワップどころではなくなります。
証拠金10万円でトルコ・リラ円を12万通貨保有すると、レバレッジは約4.5倍。
このポジションなら、毎月1万円前後のスワップ収入 が期待できます。
しかし、為替の下落や政策リスクによって大きな損失を被る可能性も高いため、現実的には「少額で始めて徐々に増やす」ことが最も安全な戦略です。
「10万円で1万円」という夢はシミュレーション上は可能ですが、実際に挑戦する場合は必ずリスク管理を徹底しましょう。