羽田都心ルート 出典 国土交通省
2020年の東京オリンピックに向け、訪日外国人の増加に対応するため羽田空港に都心着陸ルートを導入し、国際線を年間3.9万回増加させる計画が浮上している。
しかし、成田空港の発着枠は年間6万回も余っているので、便数的に羽田空港に新しい着陸ルートを導入する必要性はない。
なぜ羽田都心ルートを導入するのか?その本当の目的とはなにか?
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羽田空港の発着枠
羽田都心ルートにより、羽田空港の発着枠は年間44.7万回⇒48.6万回(+3.9万回)に増加する。
合計 | 国内線 | 国際線合計 | 昼間国際線 | 深夜早朝国際線 | |
現状の発着枠 | 44.7万回 | 35.7万回 | 9万回 | 6万回 | 3万回 |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | |
都心ルート導入後 | 48.6万回 | 35.7万回 | 12.9万回 | 9.9万回 | 3万回 |
現在の羽田空港の発着枠は年間44.7万回だ。
その内訳は以下の通り
- 国内線35.7万回
- 国際線9万回(昼間6万回+深夜早朝3万回)
新しい「宿・渋谷の都心ルート」導入により羽田空港の昼間時間帯国際線(午前6時~午後11時)の年間発着回数は現在の6万回から9万9000回と3万9000回増加する。
羽田空港全体の発着枠は「年間48.6万回」に増加する。
成田空港の発着枠は6万回の未利用枠がある
成田空港の発着枠は年間30万回だが、2016(暦年)の実績は24万回と年間6万回の余裕がある。
羽田空港都心ルートの増加分は年間3万9000回だが、成田空港には未利用の発着枠6万回が余っている。
突然、浮上した羽田空港都心ルート
国土交通省は羽田空港の発着枠「年間44.7万回」を最終形としていた
国土交通省の「首都圏空港の機能強化」という資料では羽田空港の年間44.7万回、成田空港の年間30万回の合計74.7万回を最終形として公表している。
やはり、羽田都心ルートは突然浮上した。
国土交通省の方針
国土交通省は、日米間の羽田空港昼間時間帯便を日米エアライン全体で1日10便(20発着回)を割り当てるつもりだった。
この場合、米系4社日系2社合計6社に対して、1社当たり最大2便(日)になると予想される。
米系エアラインは20便(40枠)の羽田枠を要求
国土交通省の案(1社当たり最大2便)では、米系エアラインは羽田空港をハブ空港として利用できない。また1日数枠の羽田発着枠では、羽田空港と成田空港の2重投資になり、人材も利用者も分散し非効率になると考えた。
そのため米系エアラインは羽田の昼間時間帯の発着枠を1社当たり20便(40回)以上の割り当てを要望したと言われている。
まとめ
国土交通省は、米系エアラインに羽田空港の発着枠をより多く割り当てるために、羽田空港の都心ルートを導入しようとしているのではないか?
もし、羽田都心ルートを導入すると昼間時間帯枠は年間「3万9000回」増加する。これを1日に換算すると53便(106回)になる。これに未利用の10便を足すと1日63便分となる。
この場合1社当たり最大10~12便程度になると思われる。米系エアラインが要望したと言われる20便には届かないが、十分に米系エアラインと交渉できる数字だ。
新宿 渋谷都心ルートの高度は?
新宿渋谷の上空を高度300m~600mで777-300などの大型機が1時間当たり最大44機が飛ぶことになる。
ただし、都心上空の新ルートを飛行するのは南風が吹いている時の到着便だけで、午後3〜午後7時に限られる。
ちなみに現在は東京都心の上空ルートは高度1,800m以上とされている。
都心ルートの騒音は?
区名 | 飛行機の高度 | 地上の騒音 |
新宿区 | 高度900m | 約63~70デシベル |
渋谷区 | 高度600m | 約68~74デシベル |
品川区 | 高度300m | 約76~80デシベル |
沖縄の米軍嘉手納基地騒音訴訟ではW値75デシベル以上は損害賠償の対象となっている。
品川区の騒音レベルは75デジベルを超えると予想されている。
ただし、W値75デシベルとは騒音の継続時間も加味した値なので、単純に75デジベルを計測した騒音レベルとは違う。