2024年から2025年にかけて、米ドル/円(ドル円)相場は大きな振れ幅を伴いながら推移してきました。2024年7年に161円という歴史的高値を記録した後、2025年前半には139円まで下落。
そこから反発して、2025年7月現在では再び148円台後半まで回復しています。果たして、年末までにドル円はどこへ向かうのか――チャート分析と経済のファンダメンタルズ、さらには地政学リスクまで総合的に分析し、2025年後半~2025年12月末の為替水準を大胆に予測します。
まずは、チャートから相場の構造を見ていきましょう。
◆上昇波動(2024年9月〜2025年1月)
2024年9月下旬、ドル円は139円台からスタート。その後は米国の金利高止まり観測を背景に上昇を続け、2025年1月には158円まで到達しました。これは、FRBがタカ派的な姿勢を堅持したことや、日本側の金融政策が超緩和的であったことが背景です。
◆ 調整波動(2025年1月〜2025年4月)
2025年1月に158円台をつけた後、ドル円は調整局面に突入。4月中旬には139円台まで急落しました。日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正観測や、米経済指標の鈍化が売り圧力となった結果です。
◆ 回復波動(2025年5月〜現在)
2025年5月以降、ドル円は持ち直し傾向を見せており、2025年7月時点では149円台と、再び150円に迫る水準まで戻してきています。これは、日銀の政策スタンスが引き締めには遠く、米国の利下げが後ズレするとの観測が強まっているためです。
ドル円相場を動かす最大の要因は、やはり日米の金利差です。ここではFRBと日銀それぞれのスタンスを確認しておきましょう。
◇ FRB(米連邦準備制度理事会)
2025年夏現在、FRBはインフレ抑制に一定の成果を上げつつあるものの、依然としてインフレ率は2%目標をやや上回っています。市場では年内1回の利下げ(0.25%)が織り込まれつつありますが、労働市場の強さから「利下げ先送り」の見方も根強く残っています。
◇ 日本銀行
一方、日銀は2025年4月にマイナス金利を解除しましたが、その後の政策変更は限定的。日本の消費者物価指数(CPI)は前年比2%台に達しているものの、賃金上昇の持続性には疑問が残ることから、日銀は慎重な姿勢を維持しています。
結論として、日米の金利差は縮小の兆しはあるものの、なお大きくドル円の下支え材料となっていると見られます。
2025年後半は地政学的なリスクにも要注目です。以下が主な不確定要素です。
リスク要因 | 内容・影響 |
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米国内政治 | トランプ大統領が仮にFRBパウエル議長の解任に動けば、金融市場は大きく動揺 |
台湾情勢 | 台湾海峡の緊張が高まれば、円が“有事の安全通貨”として買われやすい展開に |
中国経済 | 景気減速が進行。日本やアジアの輸出にも波及し、円にとっては複雑な材料に |
中東・原油 | 原油価格の上昇が再びインフレ圧力となれば、FRBの利下げ時期を遅らせる要因に |
これらのイベントは短期的な為替の変動を引き起こすため、2025年12月までの相場展開にも大きく影響を与えるでしょう。
現在のドル円チャートから、注目のサポート・レジスタンスラインを以下の通り整理します。
レベル | 意味合い |
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150円前後 | 何度も跳ね返されている重要なレジスタンス。超えると155円台まで一気に進む可能性 |
142円前後 | これまで複数回反発している堅固なサポート。ここを割ると、140円割れも視野 |
現在のレンジ | 142〜150円の中での持ち合い。大きな材料が出るまではこの範囲が中心と想定される |
短期的には150円突破→152〜153円まで上昇、その後調整という波動が考えられます。
以上を総合的に踏まえると、以下の3つのシナリオが考えられます。
シナリオ | 内容 | 年末想定レート |
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ベースシナリオ | FRBが年内1回利下げ、日銀は政策据え置き | 145~150円 |
強気シナリオ | FRBが利下げせず、日銀は緩和継続 | 153~158円 |
弱気シナリオ | FRBが複数回利下げ、日銀が追加利上げ | 138~143円 |
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ドル円は、158円→139円→149円と大きく揺れた激動の2025年前半を経て、今後も波乱含みの展開が予想されます。
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米利下げの時期・規模、日銀の次の一手、そして世界情勢の動向が相場を左右するカギになります。
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目先の想定レンジは145円〜150円。材料次第では155円以上への再上昇もあり得る一方、リスクシナリオでは138円も視野に入れておくべきです。